恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

忘年会送別会

彼は11月は2回週末に泊まり、

12月に入ってからも最初の週は私のところに来てくれた。

そうして彼との関係が深まってくると、躰だけでなく、
不思議と気持ちが穏やかになり落ち着いてきていた。

このまま穏やかな時間が流れるのも悪くないと思い始めていた。


「来週は法事があるから週末に実家に帰ってくるね」
彼はそう言って翌週里帰りした。

その次の週は会社の忘年会兼白石課長の送別会。


課長は結構ここにいた期間が長かったので、
みんなが別れを惜しんでいた。

その帰り、一緒の方向の彼と私とあと2人がタクシーに乗り込んだ。

そのうち一人ずつおり、最後私たちだけがタクシーに残された。



「ひなさん。実はね、来週のクリスマスの週末帰らないと
いけなくなったんだ。ちょっと母さんが調子が悪くって…」

「お母さんが体調が悪いなら仕方がないでしょ」

「この前法事で帰っておやじから、帰ってこれないのか?
と言われてね。
体調が悪いから不安がっているらしくって…ごめん」

「謝らないで。本当に大丈夫だから」

「一緒にみんなで過ごすのを楽しみにしていたのに。
プレゼントは用意してるから、渡しに行ってもいいよね?」

「もちろん。娘たちが喜ぶわぁ」

彼は私の耳元に唇を寄せて私だけに聞こえる声で

「もちろんひなさんの分もあるから」

そう言って微笑んだ。
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