恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

僕の決意

彼は、壊れ物を扱うように、溺れるように私に口づけ抱きしめていた。

ひときわ抱擁する力が強くなった時、私の意識が彼のそばに戻ってきた。

深呼吸すると彼とライムの香りが混じったものが胸いっぱいになる。

「ひな」

私の名を呼ぶ彼の声に我慢していたものが溢れ出した。

これは何の涙なのか…
私にはもうわからなかった。

「ひな。泣かないで。不甲斐ないけどひなとひなの大切なものだけは、
何に変えても守るから」

そのまま彼は私を抱き上げると、静かにベッドにおろし、
後ろから抱きしめてくる。

私のお腹のあたりにある手に、両手を絡めて重ねながら甘えるような声で囁いた。

「ねえ。ひな?ひとつ聞いてもいい?」

「ん?」

「妊娠初期って…

やっぱり無理だよね」

「何が?」

「だから…?」

「ん?ーーん?あぁー。激しくなければいけない時期なんて
そんなにないよ、確か。私は比較的流れにくいし」

「どうしたの?したい?」

彼が後ろで咳払いをする。

「しばらくご無沙汰だからしたいって言うんじゃなくって、
決意の意味を込めてそうしたい」


焦る彼の顔が容易に想像できて、くすくすと笑ってしまった。
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