恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

私の選択肢

コーヒーを飲むと彼は娘たちに挨拶して今週も帰って行った。
微笑みながら大丈夫という彼を、こうやって私はただ見送るしかないのだろうか?

子ども達はいつものように子ども部屋で眠り、今日も1人の時間。
私は自分の部屋に戻ってパソコンの前に座った。

「子どもっていつまで堕ろせるんだっけ」

その呟きの恐ろしさに身震いしながら【中絶】という単語を検索する。

「へぇーー」

12週以前の初期と、それ以降では費用も身体への負担も大きく違う。
もし、そうするつもりなら…
あまり時間の猶予は残されていない。

あの人からお金はもらっているから…ふだんは使わないけど、
手持ちがないわけではない。

私自身今後の色々な選択肢の知識は、持っていてもいいのではないかと思った。

考えようによっては中絶して「流産した」と言えばいい。

彼だけが、あんなに頑張る必要はない。もうこれ以上…
私にはそれを見るしかできないという事実が苦しかった。

また【アフターピル】というものの存在も知った。
緊急避妊薬のことをいい、72時間以内に服用する必要があるものだそうだ。
なんでも安易に走ることはよくないが、知っているか知らないかで、
こんなに違うのかという気持ちになったが…
今はもう遅い。


あの時そんなことを調べる余裕があるなら、私は最初からこんな事にはなっていないだろう。

運命はおそらく回り始めている。
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