恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
♂+♀+2+1=5のプロローグ

その悪行の果てには

「帰ったら、連絡をくれるつもりだったのか?それともこれから佐々木と仲良く逢引か?」

「課長…」

「佐々木とは本当に結婚するらしいな…」

「…」

「ひな」

その名を呼ばれ胸が締め付けられる。

「なんか俺に言うことはないのか?それとももう話もしたくもないか?」

私との間合いを少しずつ詰めてくる。
後ずさって距離を開けようとしたが、キッチンと水回りへの通路の壁で
それ以上後退ができなくなる。

「なんでここに…」

課長とは…
あの人とは家で会ったことはもちろんなかった。あくまで日陰の関係なら当然のこと。

「俺はお前の元上司だ。調べる方法はいくらでもある。
まさか役に立つとは思わなかったがな」

唇の端を歪め、片方の眉が上がった。課長らしい表情のはずだったのに今はその顔が怖い。
私はこの人が怖くなったんだ。

「話があるなら、外でしましょ。ここはあまりにも…」

私は息をのんだ。課長は壁に追い込まれて座り込んでいる私の前で
膝をつき、見下げながら囲うように両腕を壁について覆いかぶさるようになり逃げ場を奪う。


「ここはあまりにも…
なんだ」

また眉が上がった。その表情に凍りついたように動かない私の首筋に唇を寄せる。

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