恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

愛するが故の狂気の末に

私はそれをすばやく片手で掴み取り、シンクを背にうずくまる。

それを両手に持ちかえ、廊下からやってくる課長に向かって突き出した。

「そんなの無駄だろう。おとなしくした方がいいぞ?」

私は自分のやっていることが怖くて一瞬俯いていたが、
課長はひるむことなく一歩一歩歩みを進めてくる。

「震えてるぞ。視線も定まらないそんな状態で…」

と言うか言わないその瞬間に、私の手からそれを乱暴に取り上げほほを殴る。

「そんなもの持っても何の役にも立たない」

私は彼を精一杯拒否する気持ちで見上げながらにらんだ。

「そんなにお前は反抗的だったか?
それとも、こういうものを使った方が興奮するなんて趣味があったのか?」

私から取り上げた果物ナイフを持ち替え、私にすっと近づくと長Tシャツの首元に刃を入れ、
ためらいなく下に向かって切り裂く。

ジャーっという嫌な音が耳に届くか届かないかと同時に私の長Tの前ははだけ、
肌が冷たい外気にさらされた。

私はもう目の前で何が起こっているのかわからなくなった。

あの人は狂気に憑りつかれている?何をされる?次は刺されるの?
それとも…

命さえも失うかもしれない状況の中で、
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