恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
いらない言葉でさえ、なかなか出てこない今、
果たしてその言葉は出るのだろうか…

でもここで気持ちを決めないと、ここで言葉に出さないと、
帰ってしまう…




私は、周りの重苦しい雰囲気を遮断するように目を閉じ、
深呼吸をした。

言うべき言葉は…わかっているはず。

その言葉はこの胸に…あるはずだから。

もう2度と相手がだれであっても、その言葉を言うことは
ないと思っていた…


だからそれがただ、声にはならないだけ。

それがただ、口からこぼれて、

また何もかも失ってしまうことが怖いだけ。

でも、大丈夫。大丈夫だから…

彼は違う。彼だけは違うはず…

目を開けると、彼は私をじっと見つめたまま、静かに待っているようだった。

もう一度もう一度と思い直し、
清水の舞台から飛び降りる気持ちで何度も深呼吸を繰り返していた。

そんな私の勇気のなさをあざ笑うかのように、強制的に幕が下りはじめる。

もう間に合わないのかもしれないの…




…遠くに車のヘッドライトが見えた。



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