「わかってるってば」


時間はあっという間に経っっていた。

「あの~。別件ありますんで。」

「あっ・・・そうだったね」

ゆうきは仕事の他に、バイトもしているらしく、

時間がくると、さーーっと帰っていく。

「ではまたね。ありがとう」

私は、こうやってゆうきを見送っていた。

直接会わないときはもっぱらLINEでやり取りをする。


内容はたわいもない話。

そして、心配なのか原稿提出の要求メールはしょっちゅう来ていた。

私のマンションにくるのはせいぜい1ヵ月に一度。

もっぱら原稿はデータを送ればいいのに、

なぜか、私はゆうきに来させた。


男が月1回必ず自分の部屋を訪れる・・・

なんて心地よい週間なの。

完全に妄想だけは人一倍すごい私。

ゆうきがマンションに来るようになって

私は、無機質な部屋を

少しは、女性らしく変えようって

季節ごとにアレンジしていった。

「ゆうきよ・・・はやく逢いにきて。」

年甲斐もなく、そう毎日願うの・・・

完全に片思い。

痛い・・・

でも、作品はどんどん潤っていった。







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