桜色ノ恋謌
恭哉くんが一軒のお寿司屋さんの前で立ち止まった。


「この店さ、口コミで人気の寿司屋なんだって。ここでいいか?」

「あ。うん」




店の暖簾を潜るとき、恭哉くんがあたしの肩を抱き寄せてくる。


恭哉くんの喉元に色気を感じてくらくらした。


それに、昔はしなかった香水の良い香り。




それ以上近づいたらダメだよ、恭哉くん。


じゃないと、あたしが迷ってしまう。




昂くんが好きなのか恭哉くんが好きなのかが、分からなくなっているんだよ?


だから、駄目。




そうして悩んでいたら、美味しいと評判らしいそのお店のお寿司も結局食べてる気がしない。




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