桜色ノ恋謌
私に一ヶ月前あの和宮の句を高橋さんに伝えてくれと頼んだのは、倉木さんは高橋さんの事がまだ好きなんだからじゃないのかな?


なのに。


高橋さんが出す声は頑な過ぎて。



「……私には、咲絢がいるの。あの子はこれからもっと伸びる子。今あの子のマネージメントから外れる訳にはいかないの……」


倉木さんの抱擁にも動じないで、ただ淡々と話している。



高橋さん、見ていて私が辛いよ。

想いが通い逢うのに何年もかかるなんて。


好きなのに一緒にいられないなんて。





気がついたら、衣装も替えないまま二人の前に飛び出していて、二人に向かって叫んでいた。


「私は高橋さん自身が不幸になってるのを見たくはないよっ !?」

「咲絢 !? あなた、何を…!」



いきなり飛び出した私に驚いた高橋さんが、唖然として叱りつけようとしている。



けど、恋する立場の女の子に年なんて関係ない!



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