桜色ノ恋謌

「なにやってんのー?作り方間違えてんじゃん」


やーいマヌケ!


「クリームソーダに作り方なんかあんのかよ!?」

「先にメロンソーダを注がないとだめじゃん。ソフトクリームは後から乗っけるんだお」

「だお。とか言われても可愛くねーんだよ!あーくそ、ベタベタする」



世話が焼ける奴だ。



おしぼりとハンカチを濡らして月島くんの手を拭いてやったら幾分機嫌が直ったみたいだ。




そして『正しいクリームソーダの作り方』を伝授すると、彼奴は素直に感動している。……単純な奴。



飲み物も用意したから部屋に戻ろうとしたら、月島くんが私を止めた。




「桜小路。今二人きりにしてほしいんだろ?邪魔だろ、俺ら」

「……え?月島くん…。知ってるの?公佳ちゃんが好きな人……」

「あからさまにバレバレだろ、桜小路のあの態度。健之にだけ甘えてんじゃん。……まぁ、それも新鮮だけどさ」




意外だー。月島くんは反対すると思ってたのにね。



「まずは友達からなら、いいんじゃね?たまにはこういうのも新鮮で面白ぇし。クラブとかとは違ってフツーにコウコウセイって感じするわ」

「ん。そうだね。今日はあんまり楽しいから、私も嫌なこと忘れてたよ」

「……嫌なことって?」



ああっ、私の馬鹿!


恭哉の事は今まで忘れてたのに!



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