呪島~ノロイジマ~
「ひぃいーーーーー」


船にしがみついたまま、光司は足元を見た。


真っ暗な海中ではあるが、かすかに何かが見える。



それは光司の足首を掴む……。





手だった。


その手が、一本、また一本と増える。



「ひ、ひぃい~~~~~」


光司は悲鳴をあげる。




海の中から無数の手が伸びてきたのだ。


足首を掴む手。


太股にしがみつく手。


腰のベルトを掴む手。



そして……



二本の手が水中から伸びてきて、光司の肩を掴んだ。


そのまま腕の主が浮き上がってくる。



光司は恐怖のあまり、声を出すことすら出来なかった。



肩を掴まれた光司の前に海中から顔出したのは……




「大輔さん!」


光司が叫んだ途端。大輔が目を見開いた。

まったく光のない黒い瞳で見つめてくる。



次の瞬間……






光司の身体は水中に消えた……。

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