夢のまた夢【短編集】
ことば裁判

言えない……

ーーーハンケツ、ヒコクノ、コトバハ、
キケン、デアッタタメ、
ユウザイ、ヨッテ、キンコ、15ネン
ケッテイスル
タイジョウ、サセヨ

ーーーそんなぁ……
たった一言じゃないか。
あんまりだよ。
どうってことないだろ?
誰に言うでもなく、一人言じゃないか
「こんな世の中終わっちまえって!」

ーーーキケンハツゲン、キケンハツゲン
ヒコクヲ、キンコ、20ネンニ、ヘンコウスル
タダチニ、タイジョウサセヨ
タダチニ、タイジョウサセヨ
タダチニ、タイジョウサセヨ
タダチニ、…………










21xx年、日本
言葉の乱れにより起こるトラブルや犯罪を
未然に防ぐため、新しく【ことば憲法】なるものを作ることになった。国会にて法案は満場一致で可決され、これより汚ならしい言葉、攻撃力のある言葉、その他、暴言とみなされる言葉を公共の場で使用することを固く禁止される。
それは【ことば警察】により徹底して取り締まられ、逮捕者に関しては、裁判官ロボットが開く【ことば裁判】により刑を決定される。

何れも、絶対服従である。









「ねぇ?
大体は分かったんだけど
そもそもなんでこんなことになってんのよ?」

磯崎 ゆりはマイナスコークを飲みながら
Wサイズのポテトを頬張り、藤本 保(ふじもと たもつ)に聞いた。ちなみにマイナスコークとは最近某大手バーガーショップにて発売された飲み物で、飲むと一緒に食べたもののカロリーを消費してくれるというもの。ポテトのwサイズとは単に一本の幅が二倍になっており、実に腹持ちが良い。

「なんでって……お前、あ、いや、君がさ


「ちょっと止めてよ。君とかってなんなのよ。今までそんな風に呼んだことなんて一度もないじゃない。」

ゆりは保の少し猫背気味の背中をバンバンと叩きながら言った。

「イテテテ……
だから、こういうバーガーショップとかでも
乱れたことばを使うとダメなんだよ。いつでも、どこでも、取り締まりロボットに監視されてる。」

保はゆりの耳元で蚊の泣くような小さな声で
言った。

「そうなの?」

自然とゆりも保に顔を近づけ小声になる。

「確か、ゆりが会社の転勤で火星に行ったのが五年前だっけ?そのあとすぐだよ。法律が変わったの。とにかくさ、ここじゃ話しにくいし俺んち来る?」

保とゆりはマイナスコークとwサイズのポテトを急いで頬張ると席を立った。


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