きれいな恋ばかりじゃない
好きな人
私、大塚奈美(おおつかなみ)の学校生活の一日。


朝、中庭でバドミントンをする先輩を見学。

昼、校庭でサッカーをする先輩を見学。

放課後、先輩のバイト先の本屋で立ち読み・・するふりして先輩観察。

自分でも相当気持ち悪いと思う。ちゃんと自覚してます!
だけど、大好きで大好きで堪らない絋斗(ひろと)先輩を沢山見たいんだもん・・・!!

「はぁーぁ」

思わず憂いの溜め息。恋する乙女ってホント大変です。

「ずいぶん余裕だね・・」

そんな私の溜め息を聞いた前の席の親友、理菜(りな)が呆れ顔で振り向いた。

「テストの間の休み時間に、何もしないでボケッとしてるの、奈美だけだよ?」

「はっ・・」

言われて周りをみてみると、確かにみんなテキストとか見て追い込みしてる・・。
でも、実は私ーー

「あのね、今日やる教科間違えて、国語と数学しか持ってきてないんだ」

「な、なんだってぇー!しかもどっちも終わってるし・・バカなの?次英語なんだけど」

「何とでも言えばいいよっ!どうせ今さらやったって気休めにしかならないし?


「うるさいっ」

「いたっ」

理菜は単語帳で私の頭を叩くと、また机に向かって悪あがきを始めた。

理菜とは小学生の時からの付き合いだけど、勉強嫌いでテストの直前に慌て出す所とか、全く変わらない。

ちなみに私は一応真面目に勉強する派。でも何故か真面目にやってるのに、成績はそんなに良くない。
あ、悲しくなってきた・・・。




・・・・・

テストも分かる所を埋めてしまったら、残りは全部分からない所だけになる。
私はそういうところは考えても分からないから、潔く諦めることにしている。

だから残り次回はだいたい、居眠りか瞑想タイムに突入する。

窓の外を見ると、真っ青でキレイな夏空が広がっていて、去年のことを思い出す。先輩とのことーー。


私がこんなに先輩を好きになったのは、ベタすぎて面白味のないことがきっかけ。


< 2 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop