君に逢えるまで・・・
彼女と入れ違いに、ウエイターが料理とワインを運んできた。



詩織が好きなフランス料理。

二人が付き合った年代の赤ワイン。



窓の外は、東京の夜景が眩しかった。



どれも詩織のことを思いながら選んだ物だ。



グラスに注がれたワインを一口飲む。



『マズイ…』



苦笑いしながら一人でワインを飲んでいく。



記憶が曖昧になるほど呑んで、
そして今に至る。




雨に打たれ、酔いも完全に醒めていた。


こんな時は酔って何もかも忘れてしまいたかったのに…



すべて忘れることができたら…

もう詩織とは別々の道を歩き出したんだ。



学生の頃から俺の憧れだった詩織。

付き合うことになったとき、本当に嬉しくてたまらなかったことを今でも覚えてる。


こんなに別れが辛いなら、

もうこれから誰かを好きになるのは止そうと、心に誓ったのだった。









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