桃橙 【完】
「待て。話は終わっていない」


「…なんだよ」


「今日連れてきたのは、真剣な付き合いをしている女なのか?」


「………」


「陶弥」


「父さんに、関係ない」


「マンションにも住ませていると聞いた」



そこまで情報が漏れいることに俺は、思わず舌打ちをした。



「家がないって困ってたんだよ」


「………」


「放っておけなかった、それだけだ。文句でもあるのか?」


「…いや、ないな」


「なら、もういいだろ」



俺は、親父をグッと強く見つめてから、すぐに視線を逸らして社長室を出た。
< 73 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop