桃橙 【完】
「……やめてください」


「…安芸ちゃん、お父さんが心配する。私と一緒に、」


「いやです…っ!!」



安芸は、身を翻して走り出した。


俺は驚いて安芸の後を追おうとした。



「陶弥くん」


「…なんですか?」



早く安芸を追いかけたいのに、と思わず顔を歪めると



「安芸ちゃんとはどういう…」


「…俺の、大切な人です」


「……なっ、青柳会長にも…話しているのかね?」



園山社長の慌てた顔に、俺は安芸の方へ向かおうとした足を一旦戻した。
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