静かな涙【完】
『ただいま~』



ふと靴を見ると、浩司さんの靴があった。
今日も来てるんだなとぼんやりと思う。


『「おかえり~」』


母、姉、浩司さん、三人の声が重なって聞こえた。



リビングへ入ると、シルクで出来た真っ白のウェディングドレスが飾られている。



『わぁ!スッゴイ素敵!』



『散々迷ったんだけど、やっぱりこのデザインが一番結婚式らしいしね』



お姉ちゃんはそう言って微笑む。
胸元に、見覚えのあるアクセサリーがちらりと見えた・・



あれは確か・・
浩司さんのお義母さんの・・



チクリと心が痛む。


思い出せば自分が辛いだけなのに、嫌でもフラッシュバックする・・。





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