椿山亜季人の苦難日記
「あの…亮介くん、何かあったの?」

日和ちゃんは、申し訳なさそうな顔で、俺をのぞきこんだ。

「いや…、なんで?」

心配されるほどおかしな顔でもしてたんだろうか、俺。

「なんだか、いつもより落ち込んでる気がしたから。千歌や亜季人くんに何か言われたのかなぁって。」

そう言って、ふんわり笑う。

「あの二人、遠慮しないからね。」


かわいいなぁ…


ぼぉっとしていると、目が合って、思わず目をそらす。

「?」

「じ、実はさぁ、合コン企画しようとしたら、二人にすんごいバカにされたんだよねぇ!」

「否定じゃなくて、バカにされるんだ…あの二人らしいね。」

「ホントにね!冷たいよ、あの二人は!!どこまでSなんだっての!」


二人して、笑う。




おかしい、




おかしいっ、




絶対に、おかしい!!!


日和ちゃんの顔をまともに見れない!!

二年近く、友達として過ごしてきた子なのに…。



あの、

風の中の姿が、

頭から離れない。



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