椿山亜季人の苦難日記
何でもない、意味も無い会話、

ローテンション。



好みの対極のような人なもんだから、イライラすることも多少ある。




なのに、この人はずるい。


どんなに壁を作ろうとしても、


水みたいに染み込んできて、



結局、本音を見せてしまう。









「したくないときは、ムリしないでいいよ。」




横で、昼寝を始めようと寝転がりながら、アキさんが言う。





この人は、『ムリするな』とは言わない。

『他の道もある』ということを、教えてくれるだけ。


『話せ』とも言わない。


何かを押し付けたりしない。




「ありがと、アキさん…。」



「ん。」




何が?とは、訊かない。


ありがとう、アキさん。


分かっていてくれて…。




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