椿山亜季人の苦難日記
ドクンッと、

今度ははっきり、熱く胸が波打った。


そこにいたんだ。


ただそれだけのことなのに、心は弾む。

これはもう、どうしようもないなぁ…。

「日和?」

心配そうな顔の千歌にのぞきこまれ、驚いててすぐに笑顔を返す。

「ううん、何でもないよ。アイス食べよう。」


ごめんね、千歌。言えない。どうしようもない感情だから。

芽生えてしまって、もう退くことは出来ないし、進むことも許されないから。


この汚さを、

『一緒に背負って』

なんて、そんなワガママ言えない。

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