サクラが咲いた、雨
「でも、私には部長は務まりませんよ」
「そうかなあ…」
「副部長だからこそ、これだけ私は自由に動くことができるんです。瑞華ちゃんがいなければ、私はここまでのことができませんから」
「…梓紗ちゃん」
「真悠先輩のお気持ちは本当に嬉しいです。そこまで思っていただけるなんて有難いし、本当に嬉しく思ってます。でも多分、監督も私の性格をきちんと理解された上でのご決断ですから」
…そう。
梓紗はこういう子なんだ。
きっと悔しかったはず。
1年の時からレギュラーに入っているのに、部長になれなかった。
それは、本当に悔しかったはずだ。
なのに、彼女は、そんな不満は持たない。
持ったとしても言わない。
そこが、私との違い。
…こんなに彼女に私は思われているのに。
どうして私は。