湊くんの秘密。




「明日、蘭に会えるし」



店の前にタクシーを呼んで、お会計を済ませる。

絶対あとで下山さんに請求してやる。



「下山さん、帰りますよ。立って下さい」


下山さんの肩を優しく叩く。



「うー…蘭ちゃー…」

「………帰りますよ…?」



一瞬頭をはたきそうになった手をグッと止める。



ああ……っ、ムカつく。

こうなったら最終手段だ。




「しーもーやーまさんっ! 仕事に遅刻しますよ!!!」

「はぁっ?!」



ガバッと起き上がった下山さんに領収書を渡す。



「嘘です。起きて下さい。歩いて下さい。帰ります。あと蘭ちゃんとか気安く呼ばないで下さい。俺の彼女なんで」



言いたいことを全部言って、フラフラしてる下山さんの体を支えた。



酒くせ…。



あーはやく蘭に会いたい。



ん、それだけ。



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