お嬢様の事情その1
『聞いたわ。笠原コーポレーションが白松を潰すって。』

優は厳しい顔をした。

情報は早いものだ。もう世間に広まっている。

『綾美は友達よ?』

私は答えた。

『そうね。できることなら彼女の家の会社はつぶしたくない。でもおじいさまからは白松カンパニーの処理を任されている。』

そう言うと私も優も沈黙に深くのめり込んでしまった。

お互い何も言わずそのまま教室まで帰った。

この事を綾美は知っているのだろうか。
知らないわけがない。

あんなに楽しかった学校生活が今では暗く重いドロドロとした何かに変わってしまったのだ。


< 18 / 27 >

この作品をシェア

pagetop