ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)








天気は……曇り。


今にも雨が降りそうな…灰色の空。





「……お腹がすいて力がでな~い。」




「「………まだ出発したばかりや!」」




林道の登り坂。


先を歩く、由良と私は…後ろを振り返って、思わず…突っ込む。






「ちょっと休憩したいんやけど……。」




「「…………。」」




学年親睦行事、第一の目玉…


『ウォークラリー』がスタートして約2分。




予想以上にお早い限界が来たのは…細谷くん。



額からは、玉のような汗が…流れている。



その間にも、違う班の人達が…

次々とウチらを追い抜いていく。




「………。……その無駄にデカイ水筒がアカンねん。どれ、俺が持ったるから早うよこし?」



由良が、細谷くんの元まで下って…手を差し出す。



「……重いで?」



「けど、細谷をおぶれと言われてもできんからな。まあ…、あいつなら楽勝やろうけど。」



奴はそう言って…、私を指差す。




意地悪は…健在やな。




「由良、私も水筒重いね~ん。」



「……アカン、日向!足元に…蛇がおんで!」



「…えっ!いやぁああ~!」



私は慌てて…林道を駆け登る。




「…おー、身軽やなあ、日向その調子やでーっ!」




「………。」



しもた、騙されたか…。





小器用なやっちゃ。ちゃんと優しさを…使いわけとるんかい。






「なんや、女子は力ないねんなあ…?」


「えっ?」





途端に、肩の重みがスッとなくなり……、



後ろへと振り向けば、そこに……!




「……阪本くん!」


阪本くんの…姿。





私の水筒を、持って…、わろてる。



「どーせ暑ないし、飲まない時は…俺がゴールまで持ってったろか?」



「…や、そんな、悪いしええで!」



聞かれてたんやろか、さっきの……。





途端に、恥ずかしくなって。もごもごと…口ごもる。






「それともリュック持とか?えらい膨らんどるなあ…。そっちのが重いんちゃうの?」



「……えっと、これは…」





「それはな、ヤツの食い意地の象徴やねん。」


私に代わって、由良が…答える。




< 32 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop