ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)








「ただいま~……。」





「アラ、小夏。お帰り~!」


「おかえり~、こなつ。」


補習を終えて、家に帰ると……。



浴衣を着た母親と、甚平を着た弟(小3)が、玄関先で出迎えた。



「もう花火行くん?」



「うん。あ、そーだ。今年はこなつのスキなタルトにしたで!」



「……ぉお~、さすが航平。わかっとるなぁ~!」


「帰って来たらお祝いしようね。けど、小夏……。アンタも今年、浴衣着る言うてなかった?準備はしたけど着付けできる?」



「大丈夫、ありがとね。」



「ほな、行ってくるわ~。」



「行ってらっしゃい♪」






笑顔で弟らを見送って。


玄関の扉がパタリと締まったのと同時に……。




「はあ~……。」




私は、大きく息を吐いた。





「家族にまで嘘ついてもーたなあ……。」






近年……、花火大会の日取りは、私の誕生日と重なるようになった。



年の離れた弟は、毎年花火を楽しみにし…、母と共に、会場へと…足を運ぶ。


昔のように私の誕生日は、夕食を囲んでお祝いすることはなくなったけれど…。それでも、ケーキを食べて、囁かに行われるパーティーの時間は…いくつになっても嬉しいものだ。





………が、




その時間まで一人というのは………




寂しすぎるやないか!!






去年までは、ひいちゃんが一緒に行ってくれたから問題なかった。



せやけど、今年は…彼氏がいてるから駄目だとわかっていた。



でもな……、ウチも彼氏おるんで……??


まさかの…肩透かし。




クラスメイトと花火行くと勘違いしおった彼氏はん。




「…………。なんちゅーか……、マイペースな男やなあ…。」


考えてみれば、帰る時も、デートも、阪本くんに誘われた時…ばっかり。


私から誘ったことは…なかったな。



毎日ベタベタするよりは…気楽かもしれん。









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