ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)






夏……、到来!



相変わらずウチらは…



隣りの席のまま。




6月には席替えもあったんやけど……。


なんの因果か。またしてもこの男が…隣りになりおった。


必死の抗議もむなしく…、

相変わらず罵り合って、こーして日々を…


過ごしている。





アカン、イラつくわ。



「アンタこそなぁ…、大層な名前つけてもろて。名前負けやな。…そもそも秋ゆーたら、小さいあ~き♪てちっこい頃から歌っとったやん。そんなちっこいナリして、名前うっかりまちごーたんか。」



「ちっこいちっこいうるさいわ、ボケぇ。お前こそ、その熱苦しい顔して『小夏』とか意味わからん。毎日顔合わしとったら黒っ焦げになるわ。」




「夏ゆーたらバーベキューやもんな。お肉焦がしたらアカンで!」



「……。そやな、ほんならオマエのその贅肉焼けばええ。どの道誰も食わんし。」




「「……………。」」







言い合いは堂々巡り。


そこに勝ち負けが存在する訳でもない。




これが日々の日課となって、単なる習慣…、いやいや、条件反射と言えよう。



犬猿の仲ちゅーのは、まさしくウチらのことを指す言葉。


顔を見合わせれば……


こうなるモンや。




無論、私は愛らしいチワワで。


コイツはケツの赤い小猿。

桃太郎のきびだんごにうっかりつられる…阿呆なお猿さんや。





「………。ドーベルマンの間違いちゃう?」




「………?!」




「声に出とったで、チワワさん。」




「………気づいてたんならはよ突っ込めやーッ!!」




私は由良の頭をスパーンとはたく。




「あははっ、あほ~!!」







そう言って。由良はケタケタと笑った。




……………。あほっちゅーのは、楽しそうに笑うもんやな…。








最近……、気づいたことには。



こうしてやんやん言っていても、こいつにはどこか余裕があるのか……



無防備にも、よう笑ってるってこと。



おっきな目が細うなって。


目尻をキュッとあげて…


口を開けて豪快に笑う。







嫌味なくらいに、可愛い笑顔やねん。



……や、間違ごうた、不気味や…、不気味!




「由良には乙女の悩みなどわかるまい…。」



「……?どこにおるん、乙女。」



「ここや、ここ!」


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