【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
【side松川】
――俺は、ヘタレだ、と、常々思う。
「松川くん危ないっ!」
「……っ!?」
グイッ!と、ものすごい勢いでフードが後ろへ引っ張られ、2、3歩後退した俺は、目の前を通り過ぎるトラックを見て一気に顔面蒼白になった。
少し目線を上げれば歩行者側は赤信号が光っており、交差点を何台もの車が行き交っていく。
……前、全っっっ然見てなかった!
「よ、よかったー、間に合って……」
「……うわっ、ご、ごめんね六花ちゃん!?」
今さらながら襲ってきた恐怖に、六花ちゃんが止めてくれなかったらどうなっていたかを想像して、全身に悪寒が走る。
バックバックバックバックうるさい心臓を感じながら振り返り、いまだ俺のフードをしっかりと掴んだままの六花ちゃんと向き合う。
ま、もちろん、首もとが絞まって『げほっ』なんてダサい声出しましたとも。
「うわああっ!ご、ごごごごめんね松川くん!!」
慌てて俺のフードから手を離した六花ちゃん。
申し訳なさそうに何度も『ごめんね、大丈夫!?』と繰り返しながら、少しずつ潤みを増していく瞳。
……え。え。え。え。ええぇぇっ!!
なんでっ!?なんで泣くの!?