恋する吹奏楽部

「おにいちゃん、ちょっと。」
「ん?」
音楽室で皆はお昼を食べている。
そうそう、明日から夏休みで、今日は終業式だったんだよ!
お昼をたべてる時、妹の千夏に呼び出された。
音楽室を出て、廊下をまっすぐ行った階段で千夏がしゃべりだす。
「おにいちゃんさぁ、もしかして浮気性?」
「ふぉえ!!?」
「自覚なしかよ、ありでも怖いけど。」
なんのことだよ一体!
浮気って何!?
なんのこと!?
「おにいちゃん!望月先輩と付き合ってるんでしょ!?」
望月・・・トロンボーンの望月祈舞のこと。
「祈舞?そういや付き合ってたかも。」
「馬鹿男おおおおお!かも。じゃないでしょ!ばかあああ!!」
「ちょ、ちょっと!学校ではあくまでも先輩後輩なんだから。言葉遣いに気をつけてよ?」
「んな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょう!?」
「なんで?祈舞と付き合ってるってだけでなにがヤバイの?」
「バカ兄」
と言って20センチも身長差があるのに思いっきり頭を叩かれた。
「な、なんでぇ~!!」
千夏はため息をついた。
「おにいちゃんの好きな人はだれ?」
「ゆりちん。」
今度は顎を蹴られた。
「そこよ!問題はそこなの!!!」
「えぇ?」
「おにいちゃん、ゆりのこと好きなくせに好きでもない望月先輩と付き合ってるでしょ!?なんでよ!!それ浮気よ!う・わ・き!!!」
千夏が指差してくる。
「ち、千夏?人に指さしちゃだめだよ?」
「浮気するのはもっとだめ!!」
「ひぃいい!」
「おにいちゃんなんで望月先輩と付き合うようになったの!?好きでもないのに!」
「好きじゃない・・・?でも仲間は好きだよ?」
その瞬間どさっと音がした。
千夏と二人で音のした方を向くと、そこには。
「も、望月先輩!」
「祈舞!」
祈舞がいた。
「やっぱり。どうせあんたもそういう事言うんだね!」
祈舞は落ちたカバンをそのままにして階段を降りていった。
「祈舞!」
「望月せんぱっ、・・・。おにいちゃんが悪いんだからね!彼女を大切にするのが男なんだから!!」
千夏に喝をいれられて、僕は走り出した。
「祈舞ぅー!待ってよ!祈舞ううう!!」

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お兄ちゃんのバカ。
なんであんなに頼りないの。
なんでこんなに私を焦らすの。
もう私ってばお兄ちゃんに振り回されすぎ。
もう疲れた。
ゆりが河音の失恋からお兄ちゃんとどんどん仲良くなって立ち直ろうとしてて嬉しい。
お兄ちゃんもあの年でやっと初恋デビューで妹として嬉しい。
しかも相手があのゆりだったら余計に嬉しいじゃん。
でも納得いかないの。
梶間先輩と別れた好きでもない望月先輩と付き合い始めて。
おまけにまだゆりが好きだなんて。
お兄ちゃんは過去に一回ゆりを傷つけた。
怯えてるゆりにまた変に優しいからゆりなんか惑わされちゃって。
なにがしたいの?
お兄ちゃんが悪いんじゃないの?これって。
お兄ちゃんがあんな性格だからだし、しかも不必要に昔からよくモテるし。
私が幼稚園児の時たしか幼馴染の姉崎先輩に告白されたって言うし。
最近まで姉崎先輩もお兄ちゃんにべったりだったし。
お兄ちゃんは周りの気持ちに気付いてなさすぎだよ。
妹っていう1番お兄ちゃんに近いポジションなのに、
ゆりとおんなじ立場なのに、
なんで気がつかないのわけ?

お兄ちゃんなんか大好きだよ。
バカバカバカ。

もう、知らない。

モテ男め。
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