君がすき



決意をこめるようにグッと拳を握ると、久富が驚いた顔であたしを見る。



「なに?久富が自分で探せって言ったんじゃん」


「いや、だからって、マジでお前……」


「言ったからには、絶対見つけるんだから!当たったときには、ちゃんと教えてよね!」



ビッと指をさして声高々に言えば、久富はあんぐりと口をあけたまま、若干、口元をヒクヒクさせる。



今更、言わなきゃよかった、なんて聞かないんだから!

幸い、受験生っていっても、内部進学!

とことん、観察してやる……!!



「……って、プリントやらなきゃ!夢榎に怒られる!」



隣で「ウソだろ…」と呟く声を聞きながら。


あたしは早速、シャーペンを手にプリントとにらめっこを始めた。



夢榎とまっつんが帰ってくるまで、その状態のまま進まなかったのは、言うまでもない。



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