君がすき
「ちょっと、泉輝?叶芽のこと、いじめないでって言ってるでしょ?」
「いじめてなんかねぇよ。事実を言ったまでだ」
「泉輝の場合は、度が過ぎるの!」
「………スミマセンデシター…」
夢榎の手にかかれば、久富もこの通り。
幼馴染の夢榎には頭が上がらないみたい。
まぁ、なんてったって、夢榎は賢いし。
運動もできれば、頼りがいだってあるし。
大学だって、内部進学ができる高校なのに、国公立を目指してる。
そんな夢榎は、あたしにとって自慢の友達。
頭に乗せられたアメを食べながら、悔しそうにジーッとあたしを見る久富に、
ふふん、と笑って見せる。
すると、ふと何かを思い出したように、「あ、そうだ」と夢榎が呟くと、
持っていたカバンの中から筒状の紙を取り出した。