腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
「トランプ?」

「そ。やらない?」



友達の明日香がそう言い出したのは、3限目が終わった休み時間のことだった。

ケースに入ったそれを軽く横に振ってみせる彼女に対し、あたしははりきって片手をあげる。



「やるやる!」

「私も~」

「よし! それじゃ、あかりと南とあたしと、あと暇そうな……あ、お~いそこの男子3にーん!!」



明日香が声を掛けた方向に顔を向けてみると、そこにはいかにも暇を持て余す男子たちの姿。

そして、そのうちのひとりは──。



「……げ」
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