腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
そう、それは、突然のことだった。

……いや、別にオレとあかりがふたりきりで資料室にこもっていたことが、何も突然だったわけじゃない。

あの面倒くさがりの生徒会長が、「ちょっとおまえら去年の決算報告に関する資料探して持ってこい」などと年下で役職も低いオレらにいけしゃあしゃあと頬杖つきながら言い渡すことなんて、もはや日常茶飯事といっても過言ではない出来事だ。


では一体何が、『突然のこと』だったのか。



「ちょっと隼人、聞いてんの?」



……1メートル間をあけてとなりにいる、つい10秒前のコイツの発言だ、コイツの。



「何いきなり、ウブで純情なあかりチャンも、とうとう恋愛脳に目覚めちゃったの?」



気を取り直し、手にしていた過去の議事録を目の前の棚につっこみながらそう言った。

そんなオレに対し、あかりは不満げに、小さなくちびるをつき出す。



「なっ、なにさ、『ウブでジュンジョー』って」

「ははは。そのまんまの、恋愛事に関するあかりを適切に表現した結果だけど」

「あんたその胡散臭い笑い方マジでやめろよな……!」
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