白いジャージとオレンジジュース
「たっくんは、その子が好きなのか?」
俺は、残っていたコーヒーを飲み干した。
のどが渇く。
「まさか。俺は、結婚してるんだよ。好きなわけない」
たっくんは、自分自身にそう言い聞かせているようだった。
「結婚していなかったら、好きになったのか?」
「わからない。でも、一番大事なのはゆかりなんだよ。それは絶対に一生変わらない」
一番大事なのはゆかり。
その言葉からは、誠実さが感じられなかった。
俺は、大きく息を吸って、窓の外に視線を移した。