白いジャージとオレンジジュース
「喜多先生も、若い頃はいろいろ苦労あったんでしょ?」
ここ数年の間にも、喜多先生に恋をしている生徒はたくさんいるのを知っている。
「生徒から告白とかそういうのは、最近はないけどな」
「迷いますよね。どういう風に接するのが正しいのかわからない」
「だよな」
喜多先生は、遠い目をして揺れるカーテンをじっと見つめた。
「前の学校のこと、思い出したんですか?」
「バレたか」
少しだけ聞いたことがある。
この高校に赴任する前のこと。