三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
第7章‐哀しみの度合い
『さあてとまた独りぽっちになっちゃたな。これからどうしょう?』と紫苑は自分の夫と親友の二人を一編に失くしてしまった事に改めて気づいて胸が張り裂けるような気持ちになった。だが紫苑は父が亡くなり相思相愛で結ばれたはずの夫にもいともあっさりと去られ、おまけに親友をも失ってしまった。が、しかしこんなにもどん底状態にいてさえも、紫苑は気丈にならざるを得ないのだ。何故ならば自分の父親が苦労に苦労を重ね一代でようやくこれまでに築き上げてきたファミレスをここで潰す訳にはいかないからだ。




  ちなみに会社経営は独りでは成り立たない。つまり今後は楓駕(ふうが)と義母に協力を仰ぎ、そして美園をも巻き込む勢いでもって、最低でもファミレスを現状維持させるのは勿論の事、今まで以上に紫苑自ら舵取(かじと)りをして発展させて行かなければならないのだ……。




  そんな思いを踏まえて
「ねえ、楓駕君あなたファミレスの代表取締役になる気なあい?」
  とそう紫苑が車の後部座席から唐突に質問をしてきた。




  キッキーーー!!!
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