三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
  と秋津にそう声をかけられドアを開けて貰うと
「あっ、恐れ入ります」
  と言ってから楓駕(ふうが)は車から降りた。




  そして
「送って頂きありがとうございます」
  とまずは七乃葉にお礼の言葉を言うと丁寧にお辞儀をした。




  それから今度は美園と七乃葉の顔を交互に見ながら、
「今夜は楽しかったよ。また近々宴会を開こうよ。じゃあおやすみなさい」
  と言って楓駕はお屋敷へと続く石畳の上に佇み、手を振りながら美園と七乃葉を乗せた車が、ゆっくりと遠ざかるのを見送った。




  でもって美園と七乃葉が乗った車が自分の視界から消えると、楓駕は踵を返しやや千鳥足気味の足で、石畳の上を歩き始めた。

< 78 / 179 >

この作品をシェア

pagetop