九死に一生を得る‐真田勇気（さなだ ゆうき）の場合

短編小説

　　雨宮滋（あまみや しげる）は公務員を辞めて定年後に市の公園の整備の仕事に就いて早３年目の６１歳であった。




　　そして妻は長い間腎臓を患って闘病の末１年前に亡くなった。




　　尚、一人娘の美咲（みさき）も２１歳の時に出来ちゃった婚とやらで早々と嫁いだので、目下雨宮は気楽な独り暮らしである。




　　ある朝雨宮は公園内の花時計を形作っている葉牡丹が一つスッポリと抜かれているのに気づいた。