あの加藤とあの課長*SS集

人生の岐路、2つに1つ

アッキーのために、ずっとずっと、やってきた。この、10年。

後悔も、男への未練も、なかった。
アンタに、出会うまでは。




「敏ちゃん、どうしたの?」

「敏?」



ふと顔を上げれば、不思議そうな顔をしながらアタシの顔を覗き込む陽萌と源がいた。



「何でもないわ。」



そう微笑みかけながら、くるくると椅子を回した。


いつの間にか救護室を溜まり場のように扱い始めたコイツら。

追い出す方法は、現在模索中。



「ねぇ、本当に平日行くの?」

「しつっこいわねぇ、何度言わせんのよ。」

「だって、見送り行きたかったんだもん…。」



しょんぼりする陽萌は、もう何度も同じことを訊いては、同じ答えを聞いてしょげている。


何度言われようと、アタシの気持ちは変わらない。

そのくらいの頑固さは持ち合わせてる。


だって、オカマだもの。



「平日向こうに行くわ。そのために会社休むとか、絶対許さないわよ。」

「敏ちゃんのケチ。」

「仕方ないじゃない。」



嘘、仕方なくなんてない。



「敏、無理なのか?」

「無理なもんは無ー理!」
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