飛ばない蝶は、花束の中に


正直なところ。

“雅”が、私を抱き締めるように引き剥がした時。



ひどく…なんというか。

…守られた、気がした。



私が“タカノ”をひっぱたいたから、ではなく。

それよりも早く、“雅”はキッチンから飛び出したように、見えたんだ。




なだめるように、私を優しく座らせて、ミルクティと、レーズンのたくさん入った薄切りのパンをひと切れ置いてくれた“雅”は。


私がまるで怖がっているかのように。

お兄ちゃんのコーヒーを注ぎ忘れ、それをお兄ちゃんが自分で注ぐのも目に入らないかのように。



あんまり驚いて黙り込んだ私の首に、冷たいジェルを塗り続けて、いた。




< 99 / 328 >

この作品をシェア

pagetop