君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
マンションは、本当にすぐ近くだった。

私が気づかなかっただけで、実は土手はマンションのすぐ裏手にあったのだ。



「明日は午前休とるといい。定例会では俺が今日の報告をしておくから」

「じゃあ、お言葉に甘えます」

「お疲れさん」



そう言いながら、マンションの前に車をつけてくれる。


待たせないよう、急いで建物に入った。

少しして、特徴のあるエンジン音が遠ざかっていく。


これで本当に終わりだ。

明日から、会社が退屈に感じたりしないことを願おう。

そんなの、いくらなんでも社会人として情けなさすぎる。

また一緒にやれる機会は、来るんだろうか…。


そんなことを考えながら郵便を取りに向かい、背筋が凍りついた。


郵便受けが、開いていた。




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