カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
ライトブルー


気分が落ちてるときこそ、明るい色を。

そう思って今日選んだ服は、滅多に袖を通さない薄ピンクの胸元にギャザーをあしらったシャツ。
それをブラック系のクロップドパンツに合わせて出社する。


「阿部―。オリジナルの話は進んでるのかー?」


外回りに出る直前に、部長に声を掛けられて足を止めた。
振り返って、上座に位置するデスクにいる部長と目が合う。


「頼むぞー。毎年のことだから、『前年の数字を上回るもの』、ってのを考えるのは大変だろうけどな」


私は口角を上げて、「はい」と目を合わせて返事をしてから営業部を出た。


部長に言われなくても、わかってる。

長年の付き合いのメーカーだからって、ただ馴れ合いの延長でオーシャンを選んでくれてるわけではない。
文具メーカーなんてたくさんある。

希望価格の設定内で、売上に繋がるようなもの……ただ、依頼主の言うことに首を縦に振るだけじゃだめ。そこで、こんなのはどうかと双方で提案したり、改善したりしてよりよいものを作り上げていく。
そして最終的に、うちにしてよかった、と思って貰えるように。

きっとそうしたら数字は勝手についてくるはず。すると自ずとウチの利益にも繋がる。

けど……その『いい提案』が全然浮かばないのも事実。


オフィスの廊下を歩きながら、ため息をつくなんて。
昔の自分には考えられないこと。


浮かない気持ちでエレベーターのボタンに触れようと指を延ばしたときに、携帯に着信がきた。



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