私と貴方とあの子と・・・【完】

4限目








講義が終わり、適当に時間を潰してやってきた夜7時。

楓と古風な居酒屋のドアを開ければ、ガヤガヤと人の声が響く店内。

その中で、団体用の座敷がある襖を開ければ、一層騒がしくなる声。


その中心は、今日私たちを誘ってくれた風間君で。

襖を開けて中を覗いた私たちを見て、

「おお!桃花ちゃん、楓ちゃん!」
と呼んだ。

風間君に肩を組まれて遠い目をしている郁は、
風間君の声に顔を上げこちらを見た。




・・・それにしても・・・

団体席を埋めてしまう人数の学生・・・

そんなに広くない部屋にしても3・40人くらい居るんじゃないかと思う。

今日の今日で、こんな人数を集めてしまう風間君の人脈に感心する。


または・・・

「香坂君、こっち座ってよ~」

「香坂君、私の隣空いてるよ!」

ダシに使った郁の人気威力か・・・


もう始まりそうな飲み会に自然と入り込み、奥の席へ行く楓を追おうとしたが、
入り口付近端の席が空いているのを見つけてそこへ座った。


意気込んで飲み会に参加してみたものの、初めての事だし大人しく皆の様子を見ていたい。

もしもの時は直ぐに抜け出せそうな席だ。





 




< 27 / 65 >

この作品をシェア

pagetop