絶滅危惧種『ヒト』
「う~~~~~ん。たぶん無いと思う」


「そっか」


「でも、どこに行ったのかしらね?」


綾乃が首をかしげる。


「同じルートで来たはずなんだけどなぁ……?」



「そうよね。もし事故にでもあったんなら、すぐ後を追っている私たちが、気がつくはずだもんね」


「じゃあ違うルートなのかな?」


「そうかもしれないわね。で、来る途中で何かに巻き込まれちゃったのかも」


綾乃は顔をしかめた。



「どうする?」


聖人が綾乃を見た。


「どうするって言われても……。井上くんを探してたら、それこそ日が暮れちゃいそうだけど」


「じゃあ一旦うちに帰ろう。兄ちゃんの卒業アルバムを見れば、井上さんの実家の電話番号が分かるだろうし」


「そうね」


綾乃が頷く。


三人がエントランスから外に出たとき、外の通りから病院の敷地に入ってくる四人の姿が見えた。


「誰かしら?」


綾乃が眉を曲げる。


「さぁ? おそらくこの騒ぎでケガをした人か、身近に発病者が出た人が、診察を受けに来たんじゃないかな?」


「そうね」


三人はこちらに向かって歩いてくる人を見つめた。

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