絶滅危惧種『ヒト』
火曜日の朝、待ち合わせ場所に先に着いた梓は、朋美が来るのを待った。

相手は自分の叔父ではあるが、朋美にしてみれば、生まれて初めて出来た彼氏である。

その彼氏が、死んでしまったのだ。

梓だって、もし聖人が死んでしまったら、ショックで当分立ち直れないに違いない。

一昨日の孝明の葬式に参列した後、朋美は昨日も学校を休んだ。

今日は一応来ると連絡を貰っているが、朋美はいつもの時間になってもまだ来ないのである。


遅刻ギリギリまで待って、もう出発しないとヤバいというときになって、ようやく朋美は待ち合わせ場所に現れた。


「おはよう朋美。大丈夫?」


「ぅん」


朋美は泣き腫らした目で、元気なく頷いた。

学校に登校する間も、二人に会話はない。

梓だって大好きだった叔父を亡くした悲しみから、まだ癒えていないのだ。


学校に着いて、クラスメイトたちと接していると、幾分悲しみは紛れたけど、授業が始まって一人でノートを取っていると、またタカ叔父ちゃんのことを考えて、涙ぐんでしまう。


気になって少し斜め前の席に座っている朋美を見る。


そこで梓は朋美の様子がおかしいと思った。

それは精神的に参っている感じのオカシイではなく、体調がオカシイのオカシイである。

梓は気になって、そのまましばらく朋美の様子を観察した。

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