絶滅危惧種『ヒト』
「ねぇライオンいなくなっちゃうの?」


隣で聞いていた聖人が口を開く。




「えっ、い、いや……聖人にはまだ難しい話しだったな」


昇はまだ小学二年生の次男に向かって笑顔になった。




「お父さんまたアフリカに行くけど、今度帰ってきたらずっと日本にいるから、聖人の父兄参観にも行くぞ」



「う~~~~~~んと、ふけいさんかんって何?」


「え? まだ参観日ってやってないのかな?」



「参観日は知ってるよ。ママが学校に来る日でしょ?」



「ああそれだ。父兄参観っていうのはお父さんが学校に観に行く日のことだよ」


「ふ~~~~ん」



不思議そうな顔をする次男。




「まぁ、あれだ。父兄参観に限らず、ずっと日本にいるようになるから、夏休みも遊びに連れて行ってやるからな」


「やったぁあーー! 本当に?」



「ああ」


「なんだよ~父さん。俺のときは一度も来てくれなかったくせに」


直樹がわざとに膨れた後で、ニヤッと笑う。



「え?」


歳の離れた弟が、キョトン顔で兄を見た。

< 9 / 223 >

この作品をシェア

pagetop