【短編】俺の可愛い妹




タツの家で初めて梓衣と会った。


人懐っこくて、常に笑顔で。

気づけば、妹のように可愛がってたんだよな。



ずっと、そう思ってた。
妹だって思ってたのに……。



この夏、俺は梓衣に手を出してしまったんだ。


タツにも『ロリコン』だの『俺の従妹』だの、嫌ってほどグチグチ言われる始末。


手を出せばそうなる事くらいわかってた。


俺だってわかってたのに……。


10個も下の子に手を出しただなんて馬鹿だって。



しかも“彼女”とまで言ってしまった。



10個だぞ?
10個。

俺が今の梓衣と同じ16歳になる時、やっとランドセルを背負ったガキだぞ?

理屈ではわかっていても、心がわかってくれない。



最近、急に大人びた梓衣にドキドキしてしまう俺はおかしくなったんじゃないか。



そんなイタイ事を思う26歳の俺。



だから、気づかないように。

そっと俺から距離を置けばなかった事になるんじゃないかって最近思ってたりする。




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