スキというキモチのカタチ。

最愛のヒト・彬。

「正直、参りました。
美来があんな風に思ってるなんて考えた事なかったから。」
瀬戸がため息混じりに言葉を吐きだす。


「男と違って女は繊細だからね。
まさか、過去をひきずられてるとは…。
俺も参った。」


彬はグラスに残っていた酒を煽り、気付いてやれなかった心の深い所をどうやって癒してやればいいのか、考えた。


「過去を引きずるのは男だって同じですよ。俺は美来を彼氏から奪った男ですから。出会った時、美来には長いこと付き合っていた彼氏がいたんです。
今でも時々彼女の口から、その元カレと比べられた発言をされる。
それが気に入らなくて喧嘩になるんです。」

自嘲気味に語る瀬戸を見ると、肘をつき両手で顔を隠していた。

「それが気に入らなくて身体に自分を刻みつけてやろうとするんです。

最低な男ですよ、俺。」


「男なんてそんなもんだ。」



彬の言葉を聞いた瀬戸は顔をあげる。



「都合のいいように女を振り回す。
だけどさ、女は強いから振り回されてるように見せかけて実は男が振り回されてるんだよ。」




苦笑いし合う男2人の間に友情が芽生えた。


「たまに相談してもいいですか、川藤さん。」

「俺なんかでよければ。」


そう約束をしたところでこのはと美来が戻ってきた。


「なあに?男同志で結束?」


雰囲気を読んだ美来がそう語りかけてきた。


後ろに居たこのははさっきとは違う表情でフワリと微笑む。



「ごめんね、彬ちゃん。」

隣の席に座り、俺にしか聞こえないような小さな声でこのはは話す。


「いや、俺もごめん。寂しかったんだろ?」


小さな声で話すこのはの耳元に囁くように話しかける。


小さく頷いたこのはは嬉しそうに笑う。
美来に何か言われたのだろう。


先程までの頼りなさげな感じはどこにもなかった。


「酔っ払うと泣き上戸なんだな、このは。」


揶揄ってそう言うと、真っ赤になって俯いた。


向かい側の席で美来と瀬戸も何やら耳元で会話している。

そろそろお開きにした方が良さそうだ。



でないと、もう自分をコントロールできそうもなかった。







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