サンドリヨンは微笑まない
大混雑だった。
だから、もう少し前の時間に約束したのに。
見回しても遼の姿は見えない。
「当たり前じゃんね…」
あたしは、天秤にかけたんだ。
遼と仕事。どっちか、と言われて、最初から決まっていた遼の方じゃなくて、打ち合わせを取った。
駅の外からは花火の音。
家に帰りながら見えるかな。
ポケットの携帯が震えた。岸田さんかもしれない。今のあたしには出る余裕がなかった。
本当にとことんあたしって最低。
結局、自分が可愛いだけ。甘えたで、傷付くのが嫌で、心のどっかでまだ遼がいるって思ってる。