サンドリヨンは微笑まない
キョリは測れない


文化祭が始まった。

当日の朝までにちゃんと花も作り終わって、出来上がった門の装飾を見上げる。

そして嬉しいことに、伊月さんが退院した。


「帰ろっかなー。今日することないし」

「え、帰るの?」

「多分最後に点呼あると思うけど」


まじで? 小野寺くんが嫌そうな顔をする。

意外だ。小野寺くんてお祭り大好きなイメージというか雰囲気があるのに。


「いや、回んのはいいんだよ。楽しいし友達いるけど、先輩がさー」

「ああ、部活勧誘してきた?」

「そうそれ。会うと面倒くさいじゃん。教室にはそう簡単に入れないけど、今日は逃げる場所ないし」


< 241 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop