*Pure love*

発覚


 ***

 ある日,先生に呼び出されて帰るのが遅くなってしまった.

「ったく,長々と話しやがって」

 荷物を取りに教室に向かうと

「あれ?佐藤?」

 教室に佐藤がいた.一人で黙々と作業をしている.
 こちらには気づいてなかったので,そろりと近づいていって,前の席に座った.

 影ができたことで気付いたのか,顔を書いているものからあげる.

「!さ,桜田君!」

「お疲れ.何してたの?」

 最初は驚きすぎて,あわあわしていたが,しばらくすると止まった.

「…今日の日誌…書いていて…」

「へぇ」

 どれどれ.覗き込むと女の子らしいきれいに書かれた字が日誌に並んでいた.
 可愛い.ふと佐藤との距離が近いことに気づく.

「!」

 がばっと身を引いた.恐る恐る佐藤を見ると,こちらに目を向けてなかった.
 ほっとしたのも束の間,見ていた方向を見て胸が苦しくなる.

 佐藤が見ていたのはサッカー部の練習風景…丁度練習試合をやっている晃太だった.シュートを決めると顔を輝かせ,ミスすると表情を曇らせる.そんな佐藤の様子はすごくかわいいのに,向けられている対象が自分ではないことが苦しい.

「…なぁ.佐藤」

 自分でもよくわからないけれど口を開いていた.
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